貨車の絵 その6



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国鉄 古典冷蔵車(レソ230形(レ1形)/レソ25080形(レ900形)/レソ25230形(レ200形)/レソ25280形(レ350形))

レソ230形(レ1形) 冷蔵車レソ25080形(レ900形) 冷蔵車レソ25230形(レ200形) 冷蔵車レソ25280形(レ350形) 冷蔵車

ここに並んだ ちっこいのは、黎明期の国鉄冷蔵車たちです。
日本で冷蔵車が必要になったのは明治後半になってからです。
これは冷蔵船等の船の発達と遠洋漁業等 漁法の発達で漁獲高が増えたため、港に一度に多量に陸揚げされる鮮魚を、消費地に向けて鮮度を落とさず輸送する必要が生じたためでした。

明治41年(1908年)に最初の冷蔵車レソ200形が10両(旧レ1〜10号)、明治42年(1909年)に増備車のレソ210形が20両(旧レ11〜30号)が作られました。
そして量産形式として明治44年(1911年)から150両作られたのが上の左端絵のレソ230形です。
以上3形式はレソ230形に仕様が統一されて、昭和3年(1928年)の称号改正でレ1形となりました。

次に大正1年(1912年)から150両が製作されたのが左から2番目のレソ25080形(レ900形)。
この形式は車端寄り上部に冷却用氷を入れる氷槽が設置されています。

左から3番目は、大正2年(1912年)から50両が製作されたレソ25230形(レ200形)。

右端はワ7543形式を大正6年(1917年)から改造したレソ25280形(レ350形)です。239両改造。
ワ7543形は山陽鉄道を国有化した際に引き継いだ 三角屋根の有蓋車ですが、国鉄の中にあっては異端車なため改造種車になり、他にも通風車ツ100形等に改造されています。
なお、床下中央に見える管は、排水管です。

この当時の冷蔵車は、どれも設計は先行していた欧米の冷蔵車を模倣したもので、車体は木製の全周2重壁で 断熱材としてフェルト等を挟んでいました。
なお、妻全面を氷槽にしたタイプが全氷槽車(レソ200、210形)、妻上半分を氷槽にしたタイプが半氷槽車(レソ25080、レソ25280形)、氷槽を持たず、適宜 氷を荷と積み合わせるタイプが無氷槽車(レソ230、レソ25230形)と呼ばれています。

また冷蔵車は生ものを運ぶため、鮮魚専用列車や旅客列車併結も行われて速達化が図られ、客車と同様に真空ブレーキ管を引き通し、一部には真空ブレーキシリンダも装備していました。

レ900形 冷蔵車 晩年

これら古典冷蔵車は多くが昭和1桁に廃車されましたが、レ900形は しぶとく、戦後の昭和24年(1949年)まで活躍しました。
がレ900形の晩年。進駐連合軍の輸送にも活躍したようです。

レ1000形 冷蔵車

レ1000形 冷蔵車

レ1000形は大正11年(1922年)から余剰のフワ30000形から改造された10t積 冷蔵車で、レソ25550形として80両が製作されました。
フワ30000形から改造といえばワフ6500形やウ100形は種車の車体を生かして改造していますが、レ1000形は けっこうな大改造となり、車長も短縮しています。
仕様は半氷槽式です。
当初は熱が籠りやすい黒色塗装でしたが、絵に描いたのは昭和4年(1929年)以降のアルミニウムペイント塗装です。
昭和25年(1950年)まで活躍しました。

レ1300形 冷蔵車/レ2300形 冷蔵車

レ1300形 冷蔵車レ2300形 冷蔵車 レ1300形 冷蔵車 晩年 連合軍専用車「CHILL CAR」

レ1300形、レ2300形は、レ1000形と同じくフワ30000形からの改造ですが、こちらは種車と同じく12t積としました。
といっても、やはり結構大掛かりな改造をしています。
初めに大正12年(1923年)から半氷槽車のレソ25630形を465両製作。これは昭和3年(1928年)の称号改正でレ1300形になりました。
続いて大正15年(1926年)に全氷槽車としてレソ26400形が40両製作されました。
レソ26400形のうち 牛乳缶輸送のために内部に棚を設置したのがレ2200形になり、残りはレ2300形になりました。

絵は左からレ1300形、レ2300形、そしてレ1300形の連合軍専用車「CHILL CAR」。
どの形式も、昭和20年代に姿を消しました。

レ2900形 冷蔵車(1次車/2次車)

レ2900形 冷蔵車 1次車レ2900形 冷蔵車 2次車 レ2900形 冷蔵車 2次車 連合軍専用車「FREEZER AND CHILL CAR」

昭和3年(1928年)に登場したレ2900形はこれまでの冷蔵車の構造を抜本的に改めた形式です。
改正点は多く、まず内側車体を鋼製とし、保冷材も圧縮コルク板を使用して断熱性を向上し、車体塗装は日光を反射するアルミニウムペイント塗装に。
氷槽は、天井氷槽にして冷却ムラを無くしています。その他いろいろ改良。

レ2900形は大きく分けて3タイプあり、上絵左が昭和3年(1928年)に250両製造された1次車。
真ん中が昭和4年(1929年)から465両製造の2次車です。
なお、断熱性能を示す熱貫流率(数値が小さいほど断熱性が良い。)は0.9とのこと。

右端の絵は2次車を戦後 進駐軍向けに改造した「FREEZER AND CHILL CAR」です。

レ2500形 冷蔵車

レ2500形 冷蔵車

レ2500形は先進的なドライアイス冷却式の冷蔵車で、昭和8年(1933年)に15両が製作されました。
構造としては天井のドライアイス槽から冷却用ダクトを壁面に這わせ、断熱材にカポックを使用しています。
積荷としては冷凍魚や冷凍肉が想定されました。
当時高価だったドライアイスは、生産会社と国鉄が提携を結んで需要を増やして単価を下げる算段でした。

レ2500形は、戦前はそれなりに本来用途で使われたようですが、第二次大戦になるとドライアイスの生産が止まり、そもそも冷蔵車自体も有蓋車代用で働かなければならなくなりました。
戦後は整備放置されていた冷却ダクトが使い物にならなくなっており、通常の鮮魚輸送に使われたのち、昭和35年(1960年)に廃車になっています。

レ2900形 冷蔵車(3次車)

レ2900形 冷蔵車 3次車 レ2900形 冷蔵車 3次車 連合軍専用車「FREEZER CAR」

昭和9年(1934年)から製作のレ2900形3次車は、断熱材の厚さを60mm→100mmと大幅に厚くしました。
これで熱貫流率は0.6〜0.7と、かなり改善されています。
3次車は175両が製作されました。

ところで、戦後日本に進駐した連合軍(主に米軍)は、部隊の食糧輸送に 多量の天井氷槽式冷蔵車を必要としました。
当然、国鉄から強制的に召し上げられたのですが、なかでもレ2900形の3次車は保冷性能が良いので大半が連合軍専用車となりました。
積荷は肉や野菜です。
連合軍専用車は特別に完璧に整備され、厚さ60mmのガラス綿製断熱材を内側に追加した食肉輸送用の「FREEZER CAR」。
その他一般用の「CHILL CAR」。
「FREEZER CAR」と「CHILL CAR」の半室合造車「FREEZER AND CHILL CAR」。
「CHILL CAR」に桟木を取り付けた「R-CHILL CAR」が生まれています。
絵は、左が普通のレ2900形3次車(戦前)。右が「FREEZER CAR」。
なお、屋根の氷槽の間にツンツン出ているのは氷槽の蓋の受台で、後天的改造です。

レ5000形 冷蔵車/レ6000形 冷蔵車

レ5000形 冷蔵車 1段リンク式台車レ6000形 冷蔵車 1段リンク式台車 レ5000形 冷蔵車 2段リンク式台車

レ5000形は、昭和11年(1936年)から製作の久しぶりの無氷槽式冷蔵車です。

そもそも、日本の鮮魚輸送は 樽や箱に魚と一緒に氷をぶち込む「抱き氷」という方法によっていたので、冷蔵車の氷槽は使いませんでした。
鮮魚輸送以外の冷蔵車使用は 食肉や乳製品ですが、日本では微々たる需要でした。
氷槽があると車体の容積を食い、その製作費もかなりのものです。
レ5000形は 昭和14年(1939年)までに420両製作され、水産業者に好評を持って迎えられました。
なお、荷重は12tでレ2900形と同じ。レ2900形では側扉の高さが氷槽のせいで低く、レ5000形の室内容積が拡大しているのが分かります。

レ5000形は、戦後の昭和21年(1946年)に 追加で145両が作られました。
また、昭和22年(1947年)には、同形車体で車軸に短軸を使ったレ6000形も388両製作されています。
ただし、この戦後製は外見は戦前製と同じでも中身は別物。
物資不足で 代用の断熱材を使ったため、保冷性能は劣悪だったそうです(昭和30年代に整備・改善。)。

絵は左からレ5000形、レ6000形、レ5000形2段リンク式台車改造車。
両形式とも昭和40年代中盤まで活躍しました。

レキ1形 冷蔵車

レキ1形 冷蔵車

レキ1形は、昭和23年(1948年)に進駐軍の命令により250両が製作された 25t積 無氷槽式ボギー冷蔵車です。
断熱材に炭化コルク板やテックス板を使用し、厚みも増して熱貫流率は0.7。
無氷槽なので、進駐軍向けでは無いのは明らかですが、当時の米軍の担当者は大形貨車が良いと判断したようで、国鉄に断る権限はありませんでした。
同様の経緯で誕生した大形貨車では トキ15000形式が大成功をおさめているのですが、レキ1形はうまくいきませんでした。

というのも、当時の鮮魚輸送は 荷主たる水産業者が貨物営業規則の裏技をフルに活用し、魚の市況を睨んで輸送途中で貨車の目的地を魚が高く売れる駅に突然変えたり、明日の方が高く売れると判断したら留置料金を払ってでも貨車を冷蔵倉庫代わりに使ったりと、色々さしずが行われていたのです。
25tの荷を、まとめて1つの市場に卸せば、その魚の価格は暴落するのが目に見えているので、レキ1形は一応2つの業者が使えるように中仕切りがあるのですが、これでは上記の裏技が使えません。
という訳で、レキ1形は良い台車を履いてて速く走れるので ワキ車の代用として使用される事が多く、小口混載貨物や荷物、小麦バラ積輸送に活躍しました。
ただ、やはり効率が悪いので、昭和30年代中頃からワキ1形、チキ2700形、レサ900形に改造されました。

レ7000形 冷蔵車

レ7000形 冷蔵車 1段リンク式台車レ7000形 冷蔵車 1段リンク式台車 連合軍専用車「R-CHILL CAR」 レ7000形 冷蔵車 2段リンク式台車

レ7000形は昭和24年(1949年)から製作の天井氷槽式冷蔵車で、レ2900形の後継車です。
レ2900形より断熱構造が改良され、熱貫流率は0.6〜0.7です。
330両が製作されて、のちに2段リンク式台車に改造されて昭和49年(1974年)まで活躍しました。

絵は左から1段リンク式台車時代、連合軍専用車「R-CHILL CAR」、2段リンク式台車改造後です。

レサ1形 冷蔵車

レサ1形 冷蔵車

レサ1形は、連合軍専用客車の一員として働いた軍番号2700代(酒保車)のワキ1形のうち、全室冷蔵車に改造されていたホミ850(ワキ288→ホミ86 1→ホミ850)を、返還後そのまま冷蔵車として整備したものです。1形式1両。
種車はワキ1形三次車で、改造内容は見てのとおり。引戸の上レールを残して ヒサシ代わりにしているのがポイントです。
昭和37年(1957年)に廃車されました。

レ10000形 冷蔵車/レ12000形 冷蔵車

レ10000形 冷蔵車レ12000形 冷蔵車レ12000形 冷蔵車 ウェザリングレ12000形 冷蔵車 青○急行レ12000形 冷蔵車 赤○急行 ウェザリングレ12000形 冷蔵車 □急行 ウェザリング

レ10000形は、従来の冷蔵車の設計を改め、全鋼製車体とした天井氷槽式冷蔵車です。
そもそも なぜ遅くまで冷蔵車の外張りが木製だったかといえば、木の断熱効果を期待してのものでした。
しかし、時間と共に木は朽ちて 隙間が開いて かえって断熱が損なわれる事態になるので、考えを改めたものです。
断熱構造、断熱材も改良し、熱貫流率は0.44にまで改善しました。

レ10000形は、昭和25年(1950年)から543両が製作され、昭和29年(1954年)からは2段リンク式台車化したものをレ12000形として増備。
レ10000形ものちに足廻りを改良してレ12000形に編入し、レ12000形は総数1841両が作られました。

昭和29年(1954年)には新しい試みとして、75km/h走行可能なレ12000形式で編成を組んで 下関→大阪市場 間に鮮魚急行列車を運転しました。
国鉄はレ12000形に青字で○急標記まで入れて期待していたのですが、編成運用だと着駅変更や着駅留置ができないため荷主は乗ってこず、半年の運用で失敗に終わりました。

昭和34年(1959年)には再度、レ12000形の編成で博多港→大阪市場 間に とびうお号。長町→東京市場 間に さんりく号をそれぞれ運転開始。とびうおは、赤○急標記。さんりくは、赤□急標記です。
こちらは速達性のアピールに成功したのか、昭和40年(1965年)まで運用されました。

絵は左からレ10000形、レ12000形、レ12000形(ウェザリング)、レ12000形 青○急行、レ12000形 赤○急行(ウェザリング)、レ12000形 □急行(ウェザリング)。
レ10000形以降の全鋼製冷蔵車は、車体塗装が白になりました。
白塗装の方が熱の反射が良いのですが、それまでは蒸機のスス汚れを考慮してアルミニウムペイントでした。
戦後は電化区間は増えたとはいえ、やっぱり白塗装は すぐ汚れ、サビも目立つのでした。

レム1形 有蓋車兼用冷蔵車

レム1形 有蓋車兼用冷蔵車レム1形 有蓋車兼用冷蔵車 □急行 チ1形(二代)長物車

国鉄にとって、冷蔵車は悩み多き存在です。
というのも、冷蔵車はその特殊構造ゆえ製作費が高く、車体の割に室内容積は狭く、片道しか荷を運ばず 帰りは空車になり、不漁期には留置場所にも困る代物でした。
そこで昭和33年(1958年)に生れたのがレム1形 有蓋車兼用冷蔵車です。
戦後になって断熱材の性能も向上したので、短区間なら多少冷蔵能力が劣っても なんとかなりそうなので作ってみました。
構造は断熱層の厚さを薄くして容積を確保。なんとか荷重14tを実現しました。
扉は密閉を工夫した引戸として高床ホームでの扉の開閉を考慮。妻板にシャッター付きの通風口を設置しました。

結果は大失敗でした。
製作費は、ワムとレの中間まで下げられましたが、熱貫流率(数値が小さいほど断熱性が良い。)はワムの5.2よりはマシですが、1.1〜1.2と戦前製冷蔵車にも劣り、水産業者はわざわざ保冷性能の劣る車は使わないのでした。
また苦心して設計した引戸も次第にガタがきたようで、ますます保冷性能が悪くなり、かといって有蓋車の代用としては荷重・容積共に不足で、誰も使いたがらないのでした。

レム1形の最大の失敗は、こんな特殊な車を 試作もせずに1年で一気に300両も作ってしまった事だと思います。
昭和43年(1968年)には残存全車がチ1形(二代)長物車に改造されました。

レム400形 有蓋車兼用冷蔵車/ワム400形 有蓋車

レム400形 有蓋車兼用冷蔵車レム400形 有蓋車兼用冷蔵車 □急行 ワム400形 有蓋車

レム1形の失敗で慌てた国鉄は、ちゃんと試作車を作って 改めて有蓋車兼用冷蔵車を製作しました。
こうして昭和36年(1961年)から量産が始まったのがレム400形で、量産車700両が作られました。
熱貫流率は0.9〜1.0と なんとか戦前製冷蔵車並みを確保。車体を大形化してワムと同じ15t積みを実現しました。

しかし やはり使用実績は思わしくなく、昭和44年(1969年)から110両がワム400形有蓋車に改造されました。
当時も有蓋車が足らず、レム400形そのままでも有蓋車として使えるはずでしたが、床板に冷蔵車と同じく桟が設けられていて凸凹していて、レム1形よりも密閉性が改良された引戸密閉装置も 操作が面倒で嫌われたようです。ワム400形は これらを最低限改造しています。
レム400形は昭和49年(1974年)に廃車。ワム400は昭和54年(1979年)まで活躍しました。
ところで真ん中の絵はレム400形の さんりく号仕様。一応 華やかな時代もあったのです。

在日米軍 レ9000形 冷凍機付き冷蔵車/レサ900形 冷凍機付き冷蔵車

在日米軍 レ9000形 冷凍機付き冷蔵車「MECHANICAL REFRIGERATOR CAR
」在日米軍 レサ900形 冷凍機付き冷蔵車「MECHANICAL REFRIGERATOR CAR
」

レ9000形及びレサ900形は、昭和39年(1964年)に在日米軍の要請によって生れた冷凍車です。
冷凍車自体は 国鉄も昭和37年(1962年)にレ90形式を試作したのですが、冷凍食品の輸送はトラックに対抗できないと判断し、エンジンの故障も多かったので量産されませんでした。
レ9000、レサ900の場合は米軍が米国製冷凍装置を用意し、運転やメンテナンスも自分でやるという事で、レ7000形式7両及びレキ1形式4両が改造されました。
改造内容は車体の一端を機械室としてディーゼルエンジン式冷凍機ほかを設置するものです。レサ900は床下に燃料タンクが付きました。
また、外板は短冊木板張りだったのが 合板張りになっています。
両形式とも昭和48年(1973年)まで在日米軍の食糧輸送に活躍したようです。

レム5000形 冷蔵車

レム5000形 冷蔵車 前期車レム5000形 冷蔵車 後期車 レム5000形 冷蔵車 後期車 晩年 ドライアイス輸送用

レム5000形は 15t積み冷蔵車として、昭和39年(1964年)から1461両が製作されました。
先代のレ12000形式からの変更点は多く、まず結局あまり使われていなかった天井氷槽をやめて無氷槽にして なおかつ新車両限界を採用して車体を大形化し、15t積みを実現。
保冷性能はいろいろ工夫して熱貫流率0.39にまで向上しました。荷の冷却は魚の抱き氷の他に、ドライアイスの使用を配慮しています。
車体には青色の帯を入れて、従来のレムとは違う事を 国鉄は水産業者に必死にアピールしました。

製作は前期と後期に分かれ、後期車はコルゲート屋根になり、側ブレーキも両側装備して6000番以降になりました。
なお、冷蔵車の連結器は 自動連結器採用時点から伝統的に客車と同じ下作用式でしたが、レム400形からは上作用式と一般貨車と同じになっています。
絵は左から前期車、後期車、際晩年の黒崎駅発ドライアイス輸送車(ドライアイスが積荷)。

レサ10000形 冷蔵車/レムフ10000形 冷蔵緩急車

レサ10000形 冷蔵車レムフ10000形 冷蔵緩急車 公式側 レムフ10000形 冷蔵緩急車 非公式側

レサ10000系冷蔵車は、下関→東京市場間に最高速度100km/hの鮮魚特急を走らせるために、コキ10000系、ワキ10000系と共に昭和41年(1966年)に誕生しました。
車両の構造は下廻りはワキ10000形とほぼ同じで、上廻りはレム5000形がベースです。
荷重は24tですが12t室2部屋に完全に分離しています(レムフは8t室2部屋)。
冷蔵緩急車 レムフ10000形の車掌室部分は、コキフ10000形と同じで、また、瀬野〜八本松間の補助機関車走行中解放に備えて電空自動解放付密着式自動連結器を装備しています。

この貨車は九州→東京直行の「とびうお号」、九州→大阪直行の「ぎんりん号」の2往復に ほぼ専属で使われ(数両が東北線「東鱗1号」でも使用。)、それまでと比べ 魚を市場のセリに出す時間を1日短縮し、国鉄の花形貨物として活躍しました。
ここまで速達化されると 水産業者は着駅変更できないとかの文句は それほど言わず、レキ1形失敗の二の舞いは避けられました。
しかし国鉄末期にもなるとレサも老朽化し、空車回送も面倒なのでコンテナ化する事になり、昭和61年(1986年)に廃止されました。

レサ5000形 冷蔵車

レサ5000形 冷蔵車

レサ5000形冷蔵車は、東北線の鮮魚列車高速化のために 昭和43年(1968年)に登場しました。
三陸地方から東京市場間の「東鱗1号」に使用され、距離がそれほどでもないのでレサ10000形をベースに最高速度85km/hの貨車として製作されました。
東鱗1号も やはり セリの時間を1日短縮して活躍し、国鉄末期にコンテナ化されました。

ワム80000形 580000番代 簡易保冷有蓋車

ワム80000形 580000番代 簡易保冷有蓋車 初期形ワム80000形 580000番代 簡易保冷有蓋車 増備車

昭和41年(1966年)、静岡の焼津港から大阪方面への冷凍マグロ輸送がパレット有蓋車のワム80000形式により開始されました。
この距離なら冷蔵車じゃなくても大丈夫で、側総開きのパワムなら荷役に便利という事でした。
しかし せっかくなら保冷性能が高い方が良いという事で、昭和42年(1967年)にワム80000形式を改造した簡易保冷有蓋車が生まれました。
改造内容は車体内側に断熱塗料を塗り、排水管を取り付け、引戸の密閉を小改修し、車体を白く塗っています。
当初はワム80000形80100番代から24両が改造され、翌年に6両が新製増備されました。
他のワム80000形物資別適合車と同じく番号は何度か変わりましたが、最終的にワム80000形580000番代に落ち着きました。

ところが昭和44年(1969年)に名神高速道路が開通すると 焼津の冷凍マグロ輸送はトラックに取られ、この車は 信州味噌の輸送に転用されました。


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